(太陽になりたい)
揺るやかなリズムからアップテンポで軽快なノリ、色付けされた様々なサウンドが楽しめる素敵な曲。
リズム隊、Aメロ直前にスネアを一発ヒットしたあとサビに入る3小節前まで、リムショットでリズムを引き締めている。リムショットはアコースティックだともっと生々しい響きだが、クリーンな音に合成されて曲にマッチさせている。ベースはBメロで軽く動きが出るがそれ以外はコード感を支え、サビでは4分弾きでバスドラと重なるビートでリズム作りに徹する。またエレキギターの8分弾きコードバッキングもリズムを作り、音に奥行きを出している。Aメロでは楽器全てがリズム形成しているが、Bメロではベース、鍵盤共にやや動きが出て、ストリングスも加わるため、Aメロでの4拍目のみのリムショットを2拍目にもヒットし、リズムのハリをキープしている。
キーボードのコード進行において、Aメロの主旋律のコード進行(F-Dm-G-C)ではベースはルートだが、キーボードは一貫してCで各小節1、2拍目を8分音符で追いかけてリズム作りに加わっている。コード進行にも角が立つことなく、心地よいアレンジ。和音でもオクターブ奏法でもなさそうだが、よく聴いたら、どうやらダブルトラックのようだ。音が立っている。
ABメロ中で独自の音を刻み続けてきたベース、キーボード、そして真理子さんの歌声は、サビ直前「せいかしら」で3本揃いユニゾン、何気なくそして気持ちよく一体感を出している。気がついて欲しい。
ストリングスは、曲の抑揚に応じて程よく色付けされている。
キラキラした様々な装飾音は要所でキラキラと光って曲全体をデコレーションケーキのように仕上げている。サビ前のドラムフィルインがごく控えめで、キラキラ音(とベースのグリッサンド)に譲っている。これらの音が飛び交う中、まれに聴こえる生タンバリンの音色は新鮮と言える。全体が合成っぽくなりすぎないようにバランスを取っているかのようだ。
歌をAメロで締めくくっている構成も面白い。詩の内容から見ても、Aメロが最もしっくり来る。
後奏は2本のストリングスとエレキギターが旋律を分け合いながらフィナーレへと向かう。なかなかメロディアスな旋律。
音源お持ちの方、後奏とAメロを拍がズレないようにピシャッと重ねて聴いてみてください。後奏とAメロはコード進行が同じなので、ストリングスとギターによる裏メロ付きのアレンジ版Aメロ演奏に乗った真理子さんの音を10秒くらい聴けます。同じコード進行なら「フリージア」の後奏とサビでも同じことが出来ますけど、サビには既にストリングスとコーラスが入っているのでダブってしつこくなってしまいます。「キャンバス」での後奏とBメロも一見同じですが、転調後で半音ズレています。まあ、何をやってもオリジナルの音源がベストですけどね。
真理子さんの特にハキハキとした歌い方がとても印象的です。サビでの真理子さんの歌声でのユニゾンもゲンキ一杯な感じですし、「さ行」も結構好きです・・。