ちょっと不親切だったと思いますので少し補足します。
Andy さんのご期待には沿えなくて申し訳ないですが、ブショネ除去法の真偽、もし真ならば
その原理に関しては、「わからない」としか我々 (といってもいいよね?) には答えられません。
情報不足だからです。
この件に関して思うのは、
・まず本当にブショネのにおいが除去できたのかどうかはっきりしない。
ヒトの嗅覚なんですぐになれてしまうのでそれで判定していいものかどうか。
・実験に再現性があるのかどうかわからない。
これ、非常に重要です。
かりにポリエチレンの袋で除去できたというのが真実だとしても、その原因がポリエチレンによ
る吸着なのかどうかははっきりしません。なぜなら、影響を及ぼす要素が多いからです。
・るかひさんのおっしゃるように、単なる揮発現象かもしれません。
・あるいはワインが空気中の酸素に触れることによって、
- ブショネ原因物質が酸化されて無臭物質に変わる
- 他の物質が酸化生成し、それのマスキング効果で TCA のにおいがしなくなる。
というようなことも考えられます。
・前に述べたように樹脂の添加剤との反応やマスキング効果も考えられます。
・また空気との接触面積や、ポリエチレンの接触面積なども一定にしないと直接比較はできません。
・光化学反応の影響もあるかもしれません。
まあ実験するなら脱気した水-エタノールの make up 混合物を用意して、微量の TCA と表面積
と重量既知のポリエチレンを添加して、不活性ガス雰囲気下、遮光、一定温度条件で接触させ、
経時的にサンプリングして GC で TCA の量を追うというテストを条件を変えて何点かすれば、
ある程度現象が見えてくると思います。
あとしつこいですが、吸着という現象に関しては官能基の性質だけでなく、吸着物質の被表面積
(単位重量当たりの表面積) も重要です。たとえば脱臭剤として用いられる活性炭は 1 g あたり
数百 m^2 と非常に大きな表面積を持ちますが、表面処理をしていないポリエチレンはそれより
も被表面積が 5〜6 桁少ないので、事実上吸着能がない (=つるつる) としか我々には思えないの
です。