珍しく意見めいたことを。
都条例修正案、可決の見通しとのことで
「なぜマンガだけ槍玉に?」ということも問題になってますけど
出版社でマンガ描いてると
もう随分前から、
小説や映画等、他の媒体では許されても
「マンガではやっちゃダメ」ってこと、結構ありました。
差別に関わることとか
どこかから何か言われそうなこと。
ネームを編集者に見せると
「こういうのはマズいから避けて」とチェックが入る。
その表現がどのくらい重要か、
こちらがどのくらいの思いでその表現を使うに至ったか、は
あまり斟酌されません。
まぁ、ぶっちゃけ「どうしても譲れない場合」、というのは
そうそうあったわけじゃないけど
一応、「表現をいじる」ことに対してもう少し畏敬の念と言うか
「申し訳ないんですが」的なポーズは欲しいな…と思わされてきました。
で、「こういうのマズい」っていうけど
このくらいの言い回しや表現だったら
小説なんかに結構ありません?と反論すると
「マンガではキビシいんです」と。
もっと端的なのは既製原作で、
小説や映画を漫画化しよう、という企画の場合
既にそれぞれの媒体で、
倫理規定や自主規制をクリアして発売されてることをやろうとしても
「マンガではキビシいんです」と。
……………なんで?
「倫理的道義的にやっちゃいけない」のではないんです。
それだったら他の媒体でもダメな筈です。
「キビシいんです」
つまり良い悪いじゃなく
「面倒だからやめろよ」ってことです。
小説や映画のような「ちゃんとした媒体」なら仕方ないけど
「マンガごとき」は許さん、という人達というのはいるらしいですね。
で、それを受ける出版社側も
(出版社のエラい方の意見はうかがいしれませんが
僕が直接接する編集者の考えとしては)
その差別される対象への気遣いとか
傷つけるかもしれない対象者への思いやりではなく
「抗議とかくると厄介だから」やめてくれと。
それはどうなのかなあ、
「マンガだとキビシい」じゃ納得いかんなぁ、
やっぱこれやりたいですよ、と押してみるとどうなるか。
「上を説得しなきゃいけないんで
これは絶対売れる、ていう何らかの確信が持てるのであれば…」
あるかい、んなもん。
つまりアレですね。意訳すると
「テメェごとき増刷かかったこともねえようなチンピラのために
余計なリスク背負わせんじゃねえよ」とw
すいませんでした。
正しいですよ。「売れるなら」って基準。
でも…………
「面白さ」で決めようってタームは無いのでしょうか?
そして
「売れるなら」、少々のリスクはいいんだと。
その理論で、
ちょっとヤバめのエロとかがまかり通って
今回みたいに取り締まりたい人達に隙を与えちゃったってことも
ちょっとあるんじゃないでしょうか。