「包丁から誰の指紋が見つかることになるのか悟るのに、ハーバートは長く推理する必要はなかった。何もかもが、あまりにも符合しすぎていた」
このくだりはいかにも不可解ですが、自分の両手に血痕がついていることにハーバートが気づいた後なんですよね。包丁についているとハーバートが考えたのは彼自身の指紋だと解釈するのが自然であるように思われます。自分がジュリアンを殺害したのかもしれないとハーバートは一瞬でも考えたのか、それとも真犯人が巧妙な手段で自分に濡衣を着せようとしているという認識だったのかは不確かですが、いずれにせよ包丁の指紋が問題になる間もなく物語はクライマックスに雪崩れこんでしまうわけで、バーティンは余計なところで読者を悩ませてくれるというのが正直な感想だったりします。
長々と書いた割には役に立たず、恐縮です。