アネハ前までは、建築学会会員や建築研究所の研究成果等の知見が、法的強制力を持たない学会規準書や計算指針として随時付け加えられた。
アネハ後は、その事件起きるまでの知見はもちろん、新たな知見も有無を言わせない強制力を持せるために法律に書きこみ、新たに生まれた「技術基準解説書」は、金科玉条に扱われた。
その大きな弊害として、構造の設計も計算も、順法計画、順法計算をすれば審査で出戻りは無くなった。つまり設計者や計算屋が自分で疑問を解決せず遠慮なく遺憾なく順法精神を邁進した。
さらに「技術基準解説書」後に新たに構造設計界に足を踏み込んだ人達は、可哀想に「技術基準解説書」絶対精神を植え込まされ、疑問が起きても熟慮せず調べもせず相談もせず、「技術基準解説書」を法令解説書としか読まなくなった。
結果として、人間の持つ最大の能力である『自分で考えること』も失った。勿論、『人間は考える葦である』を心から失わずに邁進している人も居るが。
でも、この国の構造設計界に未来への道が無くなった、消え去ろうとしている。残念だ。