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方丈記No3(元暦の大地震)New
地主 2023/06/05 14:51:25 Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko @238.129.145.153.ap.dti.ne.jp
次に1185年(平家は壇ノ浦で3月滅亡)7月9日『元暦の大地震』現在の滋賀県と京都府の境界付近で発生。これはマグニチュード7.4の文治地震と思われ南海大地震で有った可能性があるようです。山は崩れて河を埋み、海は傾きて陸地をひたせり。土裂けて水脇き出で、巌を割れて谷にまろび入る。渚漕ぐ船は波に漂い、道行く馬は足の立ち度をまどわす。山は崩れ川を埋めてしまった。海面が傾いて、高いところから低いほうに流れ込んでくるかのように押し寄せてくる津波ようだ。地面が割れて水が噴き出してくる液状化現象ようだ。と言っていて誠に素晴らしいい描写である。都の周りではあちらこちらの寺の堂や塔が倒壊し、無事のものは一つもない。あるものは崩れ落ち、あるものは倒れた。塵や灰が舞い上がって煙が立ち上っているようである。大地が鳴り響き、家々がバリバリと崩壊していく音は雷鳴がとどろくようなすさまじさだ。家の中にいれば押しつぶされそうになり、戸外に逃げれば地面が割れて退路をふさがれる。羽がないので空を飛ぶこともできない。龍であれば、雲に乗って逃げることも出来るのだが…。正に阪神大震災で体験した時のようです。余震も3か月続いたようで…かくおびただしく震うことは、しばしにてやみにしかども、そのなごり、しばしは絶えず。世の常驚くほどの地震、二三十度震らぬ日はなし。十日廿日過ぎにしかば、やうやう間遠になりて、或いは四五度、二三度、若しは一日迄、二三日に一度など、おおかたそのなごり、三月ばかりや侍りけむ。=このように大きく揺れるのは、しばらくして止まったけれど、余震はしばらくの間続いた。良くあることだが、有感地震が日に二十から三十回揺れない日はない。それが十日二十日と過行くほどに、間遠になり、やがて『一日に四、五回』『一日に二、三回』『一日おき』『二、三日に一回』と言う具合になったが、余震は3ケ月ほど続いただろう…と詳細に記している。鴨長明31歳の出来事である。方丈記は58歳の頃、書かれたようなので20数年経っての観察眼としての能力を示す一文は『人皆あじきなき事をのべて、いささかの心の濁りもうすらぐと見えしかど、月日重なり、年経にし後は、言葉にかけて言ひ出づる人だになし。現代語訳は、人々はみな、やるせない世を嘆き、いくらかは煩悩も薄らぐようにも見えたが、大地震から月日が経ち、年が過ぎると、もう言葉にして口にする人さえいない…と風化現象も言っている。素晴らしいい災害文学である。No4に続く。

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