先に書いたように浄化槽工事が始まった。
2日前の夜家に帰ると軽のワンボックス車ぐらいある真っ黒い浄化槽が
庭に鎮座していた。地面を見ると同じ大きさの大穴が開いている。
落ちたら助からんな・・・。
実はここら辺、うちの犬のトイレなので落ちないか心配していたが、一
日工事を見てたらしくここらへんには近づかない。
犬って利口だよなあ。俺だったら知らずに落ちる。いやさっきまで知っ
てても落ちる。ボケが始まっているから。
翌日(昨日)、帰ったら玄関の前に仮設トイレが設置してあった。
浄化槽を設置するのに補助金の申請をしたのだが、その条件の中に
汲み取り便所の撤去があるのだ。
世の中には悪いやつがいて、補助金を申請して工事を一応行い、また浄
化槽を掘り出して他に使うということがあったらしい。
だから、二度と元のトイレが使えないようにすることが最低条件なので
ある。浄化槽を埋めたら必ず上面をコンクリートで固めるというのもそ
のためらしい。
家の中に入るとトイレのドアに使用禁止の紙が張ってあった。
しかもご丁寧にドアノブにロープが巻いてあり開かなくなっていた。
「今日汲み取って洗っていったからもう使えんよ。なんか使っちゃいそ
うなんで封印した。」と母が言う。
なんてご丁寧にと思ったが、時間がたつにつれ母の気持ちがわかった。
使っちゃいそうなのだ。ついつい。
このとき初めて知った。
家で一番大事なのはトイレだ。
玄関脇の仮設トイレは暗くてくさくて入るのに勇気がいる。
特に夜は怖い。
「昼間はスーパーか土産物屋にいってする。」と母が言っていた。
これほどトイレが恋しいのは初めての経験である。
トイレさま、早くできてください。